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臨床栄養・上級者への道【Tips】Vol.4

病院で働きだして業務に慣れた。養成校時代の教科書では物足りなくなってきた3~4年目以降の栄養士向けの記事です。Vol.4

記事を書いている私は、栄養士として10年以上の経験があり、今は入院患者さん向けの栄養管理を主な業務としています。

この記事は私がTwitterで発信している「1日ひとつだけ強くなる」をまとめました。

体系的ではありませんので、知らないトピックスがあれば、ご自身の学習を進める足がかりにしてただければ と思っています 。

✔本記事の内容:臨床栄養のトピックを25項目読めます

101日目

NPC/Nを考慮して投与栄養を評価
タンパク質を効率良く利用するために必要な、投与アミノ酸の窒素1gあたりの非タンパクカロリー
標準は150から200で高カロリー輸液キット製剤輸液は大体この範囲
この定式が活用出来るのってエネルギーが充足してる前提ですよね?

102日目

口呼吸の弊害
口呼吸だと食事時に息を止めながら食べている。介助のリズムと呼吸があっていなければ誤嚥リスクとなる。
口呼吸になる原因は様々であるが、慢性鼻炎だと(物心ついた時から口呼吸で)自覚がない事も多い、治療がされているか知っておく。

103日目

胆管閉塞時のマンガン投与に注意
排泄経路が胆汁→便だからです
✅吸収は十二指腸・近位小腸
✅鉄により吸収抑制、鉄とマンガンは拮抗する
✅過剰でパーキンソン病様の症状の報告あり
高カロリーキット製剤輸液だとMnが入っているかチェック。フルカリックは入っていません。

104日目

デキサメタゾン(いわゆるステロイド)
担がん患者さんの痛みに対して投与され、炎症の抑制もあり。「楽」になって食欲がアップする事がある。
糖新生亢進による高血糖になる事が多い。この時に食事制限するかはその患者さんの治療ゴールと併せて検討

105日目

透析患者さんのBUN高値
血清リン高値であれば透析不足かタンパク質過剰の可能性。低値であれば異化亢進もしくは、消化管出血等。消化管出血の兆候は念のため主治医に確認(栄養士レベルでの除外はしたい)
記憶じゃなくメカニズムで導き出していきたい

106日目

血液検査のHbA1c
過去1~2か月間の平均的な血糖値を表す。
JDSとNGSPの2つがある。JDSは日本で普及していた、NGSPは米国。JDSはNGSPと比べ約0.4%低くなる。2012年頃に日本もNGSPへ移行しましたので、文献を読む時は注意が必要。
ちなみに貧血でHb低値の時はHbA1cは低値となり血糖を反映しない

107日目

逆流性食道炎の対策、食事周辺

  • 充分咀嚼して空気嚥下を防止
  • 症状出現時に常温の水を少量飲水すると有効な事がある
  • 食後2-3時間以上あけて就寝
  • 就寝はFowler位
  • 便秘を予防して、腹圧を高める動作を回避
  • 胃酸逆流にはPPI、H2ブロッカーの薬物チェック

108日目

透析時には必須・非必須によらず、5から10g程度のタンパク質喪失がある
通常用のアミノ酸輸液製剤が使用可。過度なアミノ酸制限はタンパク質異化を助長してしまう。
水の投与スペースに余裕が無ければIDPNも考慮

109日目

劇症肝炎の栄養管理トピック

  • 急性期、エネルギー源はグルコース中心
  • 重症例では血糖管理に注意
  • フィッシャー比、BTRが低下する
  • 急性期には基本的にBCAAは投与しない
  • 回復期で肝予備能が戻れば肝不全用栄養剤

110日目

劇症肝炎の栄養

  • エネルギー→25〜30kcal/kg
  • タンパク質→0.8〜1.2g/kg
  • 肝代謝が必要な二糖類は禁忌
  • 基礎代謝は亢進、糖の利用は低下
  • アミノ酸不耐症が無ければタンパク質は充分に
  • BCAA含有輸液は全身状態が改善した後

肝酵素の検査値が4ケタになっても焦らない

111日目

C型慢性肝炎の鉄制限

  • 瀉血後や血清フェリチン高値の際は、6mg/日以下を目安に鉄制限
  • VitCは鉄吸収を促進,果物は食間に
  • 乳製品は鉄含有量が少ないので利用
  • お茶等に含まれるタンニンは鉄の吸収を抑制するとされており,食事と飲用

貧血の逆を行く

112日目

サムスカは心不全と肝硬変に使用される

  • Na排泄を増加させないので他の利尿剤と併用する事が多い
  • 高Naなどの副作用がある
  • 低Naを伴う体液過剰に効果的(ループ利尿薬では増悪傾向)
  • 血清K、Ca、Mgへの影響が少ない

113日目

ドライウエイトの設定。

最大透析間隔日の体重増加6%未満が望ましい。平均除水速度は、15ml/kg/時以下を目指す。
2013年透析医学会ステートメントより
適切な範囲内の体重変動か、ある程度分かるようになりたい。😐
今めの前の患者さんの透析がうまくいっているか、分かってから栄養評価

114日目

肝硬変時の夜食
就寝前食事療法(LES)はエネルギー代謝、血中遊離脂肪酸、血清アルブミン、窒素バランス改善などが期待できる
なぜLESをするかというと、肝グリコーゲンの貯蓄能が下がって一晩の絶食が、健常人の2〜3日の絶食と同等の負荷がかかるから

115日目

ロピオン(非ステロイド性鎮痛剤)には栄養が入っている。
ロピオン1アンプル(5ml)中には
✅ダイズ油500mg
✅卵黄レシチン60mg
が入っているので、ほんのわずかの脂質を補給出来る

116日目

血清カリウムは下痢で下がり、便秘で上がる
水様便が続いて酷い時には脱水が起こり、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどの電解質が血液中から失われる
単純にカリウムの摂取量を増やすだけでは不十分な対応。下痢が起きやすい診療科病棟での慣れすぎに注意

117日目

過栄養の脂肪肝の栄養療法

  • エネルギー:25〜30kcal/kg
  • たんぱく質:1.0〜1.5g/kg
  • 脂質エネルギー比:20〜25%
  • 脂肪は飽和脂肪酸を避ける
  • 精製された砂糖や果糖を避ける
  • 禁酒

118日目

脂質投与しなければ膵液は分泌亢進無し?
今は脂質の有無では差が無いという風潮
膵臓に異常があっても、脂肪ゼロなら腸瘻から投与を許可する先生も居る。
念のため調べると、過去には子供でエレンタールの空腸投与で膵液が増えたデータあり。

119日目

急性膵炎の栄養療法

  • 基礎㌍ ×1.4〜1.5kcal/kg
  • タンパク質1.0〜1.5g/kg
  • 脂質 0.8〜1.5g/kg(食事開始後は10g/日程度)
  • 急性期の初期輸液は3000〜8000ml/日

急性膵炎は重症度によって栄養の対応は異なる。重症度は栄養士もチェック、診断は医師

120日目

OHAT(Oral Health Assessment Tool)は口腔評価ツール

口唇、舌、歯肉・粘膜,唾液、残存歯,義歯,口腔清掃,歯痛を3段階に分けてスコアリング

出典:日本障害者歯科学会雑誌/2016 年 37 巻 1 号 p. 1-7 図1

121日目

急性膵炎の栄養

  • 血管内脱水により大量輸液
  • 絶飲食
  • 軽症ではTPNはしない
  • 経腸栄養は感染発生率低下目的に重症例に対して48時間以内に開始が推奨
  • 経腸栄養は脂肪を少なく、成分栄養(エレンタール)や消化態栄養(ペプチーノ)等で10ml/hから

122日目

急性膵炎の食事開始

  • 食事は腹痛が消えて膵酵素、特にリパーゼが上限の2倍程度(20-65IU/L)まで下がれば低脂肪食から開始
  • 膵性糖尿がある場合はグルカゴンも低下するので、高血糖、低血糖の両方に注意

123日目

フィッシャー比を上げるのは?
1pあたりのBCAAの含有量

  • リーバクト4g
  • アミノレバン6.1g
  • ヘパス3.5g

アミノレバンとヘパスはAAAを含むので、フィッシャー比だけで言うとリーバクト>アミノレバン>ヘパス

124日目

慢性膵炎の栄養療法


✅エネルギー30〜33kcal/kg
✅タンパク質1.0〜1.5g/kg
✅脂肪 代償期15〜20%(20〜40g)、
✅脂肪 非代償期糖尿合併20〜25%(40〜50g)
✅禁酒
✅他は食事摂取基準

体重モニター、必要に応じてMCT
血液検査だけじゃなく、腹痛確認

125日目

入院初期摂食・嚥下スクリーニング
【既往】肺炎、窒息、肺疾患、脳疾患、神経疾患、頚部•胸腹部手術、放射線治療など
RSST→人差し指で舌骨、中指で甲状軟骨を触り、患者さんに唾液を飲んで貰う。30秒間に甲状軟骨が指を何回越えたかカウント

つづく

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