臨床栄養・上級者への道【126~150日目】

臨床栄養ライフ

病院で働きだして業務に慣れた。養成校時代の教科書では物足りなくなってきた3~4年目以降の栄養士向けの記事です。Vol.5

記事を書いている私は、栄養士として10年以上の経験があり、今は入院患者さん向けの栄養管理を主な業務としています。

この記事は私がTwitterで発信している「1日ひとつだけ強くなる」をまとめました。

体系的ではありませんので、知らないトピックスがあれば、ご自身の学習を進める足がかりにしてただければ と思っています

✔本記事の内容臨床栄養のトピック25項目

126日目

短腸症候群
小腸面積の減少による消化吸収障害。
基本の解剖と栄養素ごとの吸収部位を考える。
回盲弁が切除されると腸内細菌異常のリスク。
残存小腸が150cm以下で短腸とされている。オペレコをチェック、無ければ術者へ確認

127日目

潰瘍性大腸炎の栄養【活動期】
✅エネルギー:30〜35kcal/kg
✅タンパク質:1.5g/kg
✅脂質エネ比:10〜30%
炎症により代謝亢進、目標タンパク質は投与の量であって、漏出している。
下痢による電解質異常に注意

128日目

潰瘍性大腸炎の栄養【非活動期】
✅エネルギー:30kcal/kg
✅たんぱく質:1.0〜1.2g/kg
✅脂質エネルギー比:20〜25%程度
実臨床ではハッキリと活動期と非活動期の境目が分からないので、主治医と相談。栄養士でも下痢の回数、量はチェック

129日目

コレシストキニン
働きは
✅胆嚢収縮
✅膵酵素分泌促進
✅胃酸分泌抑制
✅胃内容排泄抑制
✅etc…
十二指腸に受容体があり、栄養が受容体に触れると反応し上記。
空腸にも受容体が少しあるので、栄養チューブの先端をトライツ越えでも反応はする

130日目

クローン病【活動期】
経腸栄養はエレンタールか消化態栄養剤が候補として挙げられる。
経腸栄養で十分に栄養が補充出来なければ、静脈栄養でサポート
エレンタールがよく使用されるが、ビタミンと微量元素の欠乏に注意

131日目

嚥下スクリニング
カーテン兆候の確認、いわゆる喉ちんこを見る。患者さんに開口して貰い、発声時の喉ちんこの挙上を観察、通常はその付近全体が挙上する
「アッ」「アッ」と短い発声を繰り返す方が異常を検出しやすい
「正常ではない」を検出したら他職種へ

132日目

カルシウムの耐用上限量
日本の食事摂取基準ではカルシウムアルカリ症候群の症例報告を基に算定されている。
耐容上限量は摂取の目標とすべき値ではなく、サプリメントなどを使用する場合に注意するべき値のようです。
日本語でも症例報告があります

133日目

栄養不足の白髪
栄養不足で黒い頭髪も白くなり、逆もある。一般的には白髪に黒い髪が混じっている場合が多い。
明確な栄養素は無いが、微量元素・ビタミン・タンパク不足で起こる。睡眠不足もあるかもしれない。「正常ではない」を見つけたら不足の栄養素が無いか検索

134日目

クローン病の栄養【活動期】
✅エネルギー:30kcal/kg
✅タンパク質:1.5g/kg
✅脂質エネルギー:比10〜30%
✅その他は食事摂取基準
腸管に瘻孔や狭窄などの消化管使用の不可であればTPN
そのTPNキット製剤は何ml入れたらビタミン・ミネラルが充足出来るかチェック

135日目

HbA1cを修飾する因子
✅急速改善した糖尿病→高く
✅急速発症・増悪した糖尿病→低く
✅鉄欠乏状態→高く
✅鉄欠乏性貧血の回復期→低
✅溶血→低く
✅肝硬变→低く
✅透析→低く
✅エリスロポエチンで治療中の腎性貧血→低く
✅失血→低く
✅輸血→低く

136日目

球麻痺
✅延髄にある脳神経核が障害され、口・舌・喉の運動障害によって起こる症状
✅構音障害、嚥下障害、舌の萎縮。延髄を外側から見る丸いので “球”と呼ばれる
✅代表的な疾患は、筋萎縮性側索硬化症、ギラン・バレー症候群、延髄梗塞等
食形態考慮へ

137日目

短腸症候群
成人で、空腸・回腸吻合で小腸の残存が30cm以下、空腸・結腸吻合で60cm以下の場合にはTPN離脱困難のケースが多い
栄養士でも小腸切除患者さんは、残存小腸の長さを確認したい
ちなみに、回腸は絨毛が伸びる代償性の変化を持っている

138日目

胃切除後の姿勢
B-Ⅰ再建後、吻合部停滞する場合がある。右側側臥位で改善する可能性がある。
もし患者さんが知らなかったら、臥床時の上半身のキープと併せて伝える。
胃切除直後は食べ方、食後の姿勢がポイント

139日目

ALBは色々な要因で修飾(炎症、復水、肝・腎機能etc…)されるので、急性期病院ではかなり使いにくい。
栄養不足はChE・TCで見る。CRP・加齢に影響を受けにくい。ただし、鋭敏には反応しないので中長期の飢餓性の低栄養を調べるのにチェック

140日目

短腸症候群の栄養
✅エネルギー:25〜40kcal/kg
✅タンパク質:1.0〜1.5g/kg
✅脂質エネルギー比:20〜30%
✅その他は切除部位に応じて検討
切除部位と経過に応じて検討
設定栄養はあくまでも初期設定なので、モニタリングして適宜調整

141日目

短腸症候群、術直後
✅腸管が麻痺してる間は徐々に栄養投与量を上げる
✅頻回の下痢は消化液を失う事になるので、水電解質もチェック
✅シンバイオティクスを考慮

142日目

肥満:BMI25以上の脂肪が蓄積してる状態


■単純性肥満(原発性):一般的な肥満
■症候性肥満(2次性):内分泌性肥満、遺伝性肥満、視床下部性肥満等


人数比率で言うと単純性肥満の方が圧倒的に多いが、症候性もあると知っておく。基本はエネルギー出納の調整

143日目

肥満症に対する栄養

■肥満症
エネルギー25kcal/kg
タンパク質1.2g/kg

■高度肥満症
エネルギー20〜25kcal/kg
タンパク質1.2g/kg

その他は食事摂取基準
肥満症は現体術の3%以上、高度肥満は5〜10%を目標に3〜6ヶ月を目安に成果を評価

144日目

糖尿は合併症が重要

■細小血管障害
網膜症、腎症、神経障害為等
■大血管障害
冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈性疾患等
■リスク増大
がん、歯周病、感染症、脂肪肝

栄養指導前には病態、治療を踏まえて優先順位を理解
目標は治癒ではない

145日目

担がん状態の栄養
ガイドラインより
✅エネルギー25〜35kcal/kg
✅タンパク質1.0〜1.2/kg
✅その他は食事摂取基準
✅造血幹移植時は30〜35kcal
但し、がんの臓器によってかなり異なるので、いつも通り病態みつつモニタリング

146日目

仮性球麻痺
球麻痺とほぼ同様の症状をきたす病態、一般的には大脳の左右両方に脳出血や脳梗塞などが起こることにより生じる。球麻痺とは異なり、舌萎縮が乏しく、筋線維束れん縮は認めない。

食形態を検討へ

147日目

食道裂孔ヘルニア
LES圧(下部食道括約筋圧)が下がり胃の一部が縦隔内へ脱出してしまう病気。画像(レントゲン、CT)でどのように脱出しているか評価。
逆流防止機構が低下する事があり、GERDを伴う事もある。
脂肪はコレシストキニンを介してLES圧を低下させるので控えめに

148日目

食道裂孔ヘルニアの治療
無症状の時は保存的、逆流性食道炎に対しては胃酸抑制等、保存加療で改善しなければ外科手術

栄養はPPIの加療中は胃酸分泌を亢進する食品は控える。高繊維質も逆流を増加させるので控えめ。食後の姿勢に注意

149日目

担がんに対する栄養【補足】

✅EPAはサイトカイン抑制、悪液質誘発因子の阻害、体たんぱく崩壊抑制(ヒトでは検討中)
✅感染症などの発熱、倦怠感に対するエネルギー消費増大を考慮
✅微量元素、ビタミン不足に注意、電解質異常を起こす
✅腫瘍部位考慮

150日目

膵頭十二指腸切除術後の経腸栄養
教科書では腸瘻造設して早期経腸栄養を推奨している。
しかし、ルーティンでの造設は胃排出遅延が多くなる等の報告もあり、議論の余地がある様子
造設せずに早期経口の病院もある
自身の病院の外科の方針は確認

管理人の都
管理人の都

トピックによって難易度がかなり異なります。消化器外科のトピックが多めでした

つづく

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