病院栄養士が国家試験過去問を解く【臨床栄養のみ】vol.10

臨床栄養ライフ

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✔本記事の内容

第33回管理栄養士国家試験の臨床栄養の分野のみ

過去問は第33回管理栄養士国家試験を参照することにしました。厚生労働省のホームページからの印刷です。解答も同ホームページを参照しました。※厚労省のHPでは公開が終了しています

解説はこの記事を書いている都が行いました

問題番号①(国試番号125)

55歳、男性。身長170cm、体重65kg、BMI22.5kg/m2、普通の労作。血糖コントロール不良により強化インスリン療法(毎食前超速効型インスリンと就寝前持続型インスリンを注射)が導入された2型糖尿病患者の栄養管理に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ

  1. エネルギー摂取量は、30~35kcal/kg 標準体重/日とする。
  2. 炭水化物エネルギー比率は、50~60%Eとする。
  3. 食事はインスリン注射後、直ちに摂取する。
  4. 低血糖発作時には、ブドウ糖を摂取する
  5. シックデイ時には、水分の摂取量を制限する。

設問が正しい→〇 設問が誤り×

  1. ×
  1. 〇 糖尿インにおけるエネルギー係数は①軽い労作(大部分が座位)25~30kcal/kg ②普通の労作(座位中心だが通勤・家事、軽い運動を含む)30~35kcal/kg ③重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある)35~kcal/kg
  2. 〇 2013年に出された「日本糖尿病学会の食事療法に関する提言」では炭水化物:50~60%、たんぱく質20%エネルギー以下を目安とし、残りを脂質とする(以下略)、となっています
  3. 〇 強化インスリン療法(毎食前超速効型インスリンと就寝前持続型インスリンを注射)と設問では記載があります。超速効型インスリンは注射後10~20分で効果が出てきますので、すぐに食事を摂る必要があります(食事の直前に注射を打つ)。一方、持続型インスリンは多くの場合一度打つと一日中緩やかに効果がありますので、食事のタイミングはあまり関係がありません
  4. 〇 低血糖に対しては、吸収が速いブドウ糖を摂取して血糖値を上げ、低血糖を改善させます。ちなみにブドウ糖1gで血糖値は約5mg/dl上昇します
  5. × シックデイ時には食事や水分は出来る限り摂るのが基本です

問題番号②(国試番号126)

脂質異常症の栄養管理に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. 高カイロミクロン血症では、脂質のエネルギー比率を20~30%Eとする
  2. 高LDL-コレステロール血症では、飽和脂肪酸の摂取を控える。
  3. 低HDL-コレステロール血症では、トランス脂肪酸の摂取を控える。
  4. 高トリグリセリド血症では、アルコール摂取量を25g/日以下とする
  5. 高トリグリセリド血症では、果糖を含む加工食品の摂取を減らす

設問が正しい→〇 設問が誤り×

  1. ×
  1. × 高カイロミクロン血症では厳格に脂質制限を行います。脂質エネルギー比率は15%以下と動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017にて設定されています
  2. 〇 飽和脂肪酸以外にも、コレステロール、トランス脂肪酸の摂取を減らすなどが設定されています。ちなみにコレステロールの摂取は200mg/日未満、問題にしやすいので暗記を。
  3. 〇 低HDLコレステロール血症では設問の項目以外にも、総エネルギー摂取量を考慮する・炭水化物エネルギー比率をやや低めに設定するなどがあります
  4. 〇 高トリグリセライド血症には他にもn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やすなどがあります

参考:疾患予防ガイドライン2017における食事療法:日本冠疾患学会雑誌2018 年 24 巻 1 号 p. 20-25

問題番号③(国試番号127)

腸疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ

  1. 潰瘍性大腸炎では、白血球数の低下がみられる
  2. クローン病では、チャイルド分類で重症度を評価する
  3. イレウスでは、経腸栄養法を選択する
  4. たんぱく漏出性胃腸症では、高たんぱく質食とする
  5. 過敏性腸症候群では、抗TNF-α抗体製剤が用いられる
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
  1. × 白血球が低下する病態は免疫機能の低下に代表されます。潰瘍性大腸炎は病名に「炎」の文字があり炎症を起こす病気ですので、白血球はむしろ増加しやすいです。
  2. × チャイルド分類は肝疾患で使われます。実臨床ではChild-Pugh(チャイルドピュー)とカルテに書かれる事が多いです。
  3. × イレウスは、腸が詰まるor動きが悪くなる によって食べ物を運ぶことができない状態です。経腸栄養は文字通り腸を使うのでイレウスの時には禁止です。
  4. 〇 低たんぱく血症におちいりやすいので、輸液でアミノ酸を負荷する事もしばしばあります。中鎖脂肪酸が投与されている症例報告もあります。
  5. × 抗TNF-α抗体製剤はクローン病などの自己免疫疾患に使われる薬剤です。

問題番号④(国試番号128)

非代償性肝硬変で上昇する項目である。正しいのはどれか。1つ選べ

  1. 血清総コレステロール値
  2. 血中アンモニア
  3. フィッシャー比
  4. 血漿膠質浸透圧
  5. 早朝空腹時の呼吸商
  1. × 
  2. ×
  3. ×
  4. ×
  1. × コレステロールのほとんどが肝臓で作られるため、肝硬変によりコレステロールが作られなくなり、血清総コレステロール値は低下
  2. 〇 アンモニアは体に有毒なので、肝臓で無害な尿素に変えられますが、肝硬変により尿素に変えられず、血中アンモニアは上昇
  3. × フィッシャー比は分岐鎖アミノ酸(BCAA)と芳香族アミノ酸(AAA)の比(BCAA/AAA)です。AAAは肝臓で代謝され本来は減少しますが、肝硬変によりこの機能が落ちている為、AAAは増大、フィッシャー比の分母が大きい数値になるので、フィッシャー比は低下します。
  4. × 血漿膠質浸透圧はアルブミンによって維持されていますが、肝硬変によって肝臓でアルブミンが作られなくなり、血漿内のアルブミンが少なくなります。アルブミンが少ないと血漿内の浸透圧が維持できないので低下します。
  5. × 肝硬変状態は肝グリコーゲンの貯蓄能力が下がります。早朝は絶食明けなのでグリコーゲンから作られた糖質が体内に存在するはずですが、前述のとおり糖質の比率の低下・脂肪の比率が上昇し呼吸.商が低下する
問題番号⑤(国試番号129)

消化器疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. 脂肪肝では、肝細胞内にコレステロールが過剰に蓄積する
  2. 非アルコール性脂肪肝(NASH)では、インスリン抵抗性が増大する
  3. 急性胆嚢炎では、血清CRP(C反応性たんぱく質)値が低下する
  4. 急性膵炎急性期では、尿中アミラーゼ値が低下する
  5. 慢性膵炎非代償期では、グルカゴン分泌が亢進する
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
  1. × 肝細胞内に脂肪が蓄積して脂肪肝になります。
  2. × CRPは炎症があるときに上昇します。急性胆嚢炎は文字通り、急性→急に起きた、胆嚢炎→胆嚢の炎症 なので、CRPは上昇します
  3. × 急性膵炎時には膵臓からアミラーゼが分泌され、血中のアミラーゼが上昇し、血中のアミラーゼが腎臓を経て尿から排泄されます。よって尿中アミラーゼが上昇します。
  4. × 慢性膵炎の非代償期というのは、もう膵臓の機能が落ち切っている状態と考えて良い。グルカゴンの分泌は膵臓で行われますがそれが出来ない

つづく

病院栄養士が国家試験過去問を解く【臨床栄養のみ】vol.11
国試過去問を現役栄養士が解きました。栄養士さんは読み物として、栄養士の卵さんは勉強の足しに気軽に読んで頂ければと思います

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