栄養士の卵さんは勉強の足しに。 この記事を読んでおられる現役の栄養士さんは読み物として
✔本記事の内容
第33回管理栄養士国家試験の臨床栄養の分野のみ
過去問は第33回管理栄養士国家試験を参照することにしました。厚生労働省のホームページからの印刷です。解答も同ホームページを参照しています。
解説は現役管理栄養士のわたし、都が行いました
国試番号188.189.190
K診療に勤務する管理栄養士である。居宅療養管理指導を行っている。患者は、75歳、女性。脳梗塞を発症し、左片麻痺を患いながら自宅療養している。意識ははっきりしており、嚥下障害は認めない。食事は買ってきてもらったレトルト粥、パン、牛乳などを自分で選んでたべているが、摂取エネルギー量が500kcal/日と少ない。
身長146cm、体重35kg、空腹時血液検査値は、ヘマトリクット33%、赤血球380万/μL、アルブミン2.6g/dL、クレアチニン0.6mg/dL。
問題番号①(国試番号188)
今後の栄養管理である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- このまま食事を継続し、モニタリングを続ける。
- 主食をめしに変更して、1日の摂取エネルギー量を1,500kcalとする
- 食事以外の水分摂取として、現状より500ml増やす
- 間食として栄養補助食品(200kcal、たんぱく質7g)を追加する。
解答
4.間食として栄養補助食品(200kcal、たんぱく質7g)を追加する
解説
現状で体重が35kgですので、基礎代謝だけで考えても約700kcal/日となります、
- 現状維持はエネルギー不足を起こしている可能性が高いので不適切
- 1日のエネルギー量1,500kcal/日にする設問2は提供エネルギーとしては42kcal/kgとなるので、多すぎるため不適切
- 設問3はエネルギーを増加させていないので、不適切
- 設問4は基礎代謝程度の栄養を満たせる介入ですので、4択の中では最も適切と考えられます
問題番号②(国試番号189)
1週間後に再訪問したところ、体重が2kg増加していた。考えられる理由として、最も適切なのはどれか。1つえらべ
- 浮腫の増悪
- 便秘
- 脱水の改善
- 体脂肪量の増加
解答
1.浮腫の増悪
解説
- 〇 血清アルブミンが低いので、血管に水を保つことが出来ず、血管外へ水が移動して浮腫になった可能性があります
- 便秘になりやすい要因が問題文に書かれていない事と、便秘のみで2kgの体重増加は考えにくいので対象外
- ヘマトクリット、尿素窒素、クレアチニンの値から脱水はもともと起こしてい無さそうよって対象外
- エネルギーの過剰はなさそう。エネルギー過剰があったとしても、1週後に2kg増えるには約14,000kcalを摂取する必要があるので、現実的ではないので対象外
問題番号③(国試番号190)
再訪問後の栄養管理である。最も適切なのはどれか。1つ選べ
- たんぱく質摂取量を増やす
- 食物繊維摂取量を増やす
- 増加させた水分摂取量500mlを継続する
- 脂肪摂取量を減らす
解答
1. たんぱく質摂取量を増やす
解説
- 〇 低アルブミンなので、たんぱく質を増やすことは適切と考えられます
- 食物繊維摂取量を増やす根拠が良く分かりません。設問1のたんぱく質を増やす方が適切と考えられます
- 増加させた水分摂取量500mlを継続する、水不足を起こしている場合はこの設問が適切と考えられますが、問題文の検査値では脱水の可能性は低いので設問1の方が優先されると考えられます
- 患者はエネルギー不足を起こしていると考えられるので、脂肪摂取量を減らすと摂取エネルギーが減る事から不適切
つづく