この記事を書いている私は現役の病院栄養士ですが、知識の確認するために国試(病院ので使えそうな設問)の過去問をチェックしました。 その6回目となります
栄養士の卵さんは勉強の足しに。 この記事を読んでおられる現役の栄養士さんは読み物として、気軽に読んで頂ければ幸いです。
✔本記事の内容
第33回管理栄養士国家試験の臨床栄養の分野のみ
過去問は第33回管理栄養士国家試験を参照することにしました。厚生労働省のホームページからの印刷です。解答も同ホームページを参照しました。※厚労省のHPでは公開が終了しています
解説はこの記事を書いている都がしました
問題①(国試番号76)
血糖とその調節に関する記述である。正のはどれか。1つ選べ。
- アドレナリンは、血糖値を低下させる。
- グルココルチコイドは、血糖値を低下させる
- チロキシンは、血糖値を低下させる
- インスリンは、血中グルコースの脂肪組織への取り込みを促進する
- 血糖値が低下すると、骨格筋におけるグルコース消費は促進される
解答
- ×
- ×
- ×
- 〇
- ×
解説
1.2.3.× 「血糖値を低下させるホルモンはインスリンのみ」と覚えれば対応可能。一方血糖値を上昇させるホルモンは沢山ある。
4.〇
5.× 骨格筋にこの機能がある文章がありませんでした。設問の記載は肝臓と思われます
問題②(国試番号77)
食後の脂質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ
- 血中のVLDL濃度は低下する
- 血中の遊離脂肪酸濃度は、上昇する。
- 肝臓でのトリアシルグリセロールの合成は、亢進する。
- 肝臓でのケトン体産生は、亢進する
- 脂肪組織でホルモン感受性リパーゼ活性は、上昇する。
解答
- ×
- ×
- 〇
- ×
- ×
解説
- × VLDLは食事中の脂肪を水(血液中)にいこうさせるリポたんぱくなので、食事後(脂質が入ってくる時)に上昇する
- × 遊離脂肪酸は脂肪組織から血液中に出され、エネルギーの源として活用される脂肪分です。血液中をフワフワ浮いて(遊離)、必要時に使われる。蓄えていた貯蓄(脂肪)を切り崩してエネルギーにする機能なので、食後は食べ物からのエネルギーがあるから、血中濃度は低くなる
- 〇
- × ケトン体は飢餓時に使われるので、食後は飢餓時ではないため亢進しない
- × ホルモン感受性リパーゼは体の脂肪に貯めこまれているトリアシルグリセロールをエネルギー源として使えるように形を変えるための道具(酵素)です。脂肪を使うとき、すなわち食べ物がなくて空腹状態のときに発動する仕組みなので食後は上昇しません。
問題③(国試番号78)
コレステロール代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ
- コレステロールはエネルギー源として利用される
- コレステロールは、甲状腺ホルモンの原料となる
- コレステロールの合成は、食事性コレステロールの影響を受けない
- 胆汁酸は腸内細菌により代謝される
- 胆汁酸は大部分が空腸で再吸収される
解答
- ×
- ×
- ×
- 〇
- ×
解説
- × コレステロールは脂質の部類ですが、エネルギー源として利用されません。細胞膜の成分が有名
- × ステロイドホルモンの原料になるのが有名
- × 食事性コレステロールを摂取すると、肝臓でのコレステロール合成は低下するため、影響を受ける
- 〇
- × 胆汁酸の再吸収は小腸で大半が行われますが、小腸の回腸部で行われます。再吸収された胆汁酸は肝臓へ戻ります。
問題④(国試番号79)
ビタミンB群に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ
- ビタミンB1が欠乏すると、血中の乳酸値が低下する
- ナイアシンの必要量は、エネルギー消費量が多くなると減少する
- ビタミンB6の必要量は、たんぱく質の摂取量が多くなると減少する
- 葉酸が欠乏すると悪性貧血になる
- ビタミンB12が欠乏すると、血中ホモシステイン値が低下する
解答
- ×
- 〇
- ×
- ×
- ×
解説
- × 嫌気的解糖が進行して乳酸産生がふえるので設問は×。ビタミンB1不足では乳「酸」が増えるのでアシドーシスをきたすことがある。
- 〇
- × ビタミンB6の必要量はたんぱく質摂取量が増加すると増えます。出典:食事摂取基準2020 p223
- × 悪性貧血はビタミンB12の欠乏によっておこります
- × ビタミンB12が欠乏するとホモシステイン値は上昇します。高ホモシステイン血症が葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12の欠乏でおこるとされています。
問題⑤(国試番号80)
ビタミンCに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ
- 体内に蓄積しやすい
- 還元作用をもつ
- 非ヘム鉄の吸収を抑制する
- 欠乏すると、血液凝固が亢進する
- 腸内細菌によって合成される
解答
- ×
- 〇
- ×
- ×
- ×
- × ビタミンCは水溶性のビタミンなので水に溶けます。水に溶けるという事は尿で排泄されるので、蓄積しにくいです
- 〇 還元作用はビタミンC自体が酸化して、他の物質を還元する作用の事。ビタミンCは還元型と酸化型の2種で食品内に遊離している
- × 非ヘム鉄はビタミンCによって変化し吸収されます。よって抑制はしない
- × 血液凝固の因子は13種類分かっていますが、ビタミンCはありません。第Ⅱ因子のプロトロンビンはビタミンKが関与しています
- × ビタミンCの吸収で腸内細菌が影響していると記載された文献は見当たりませんでした。ビタミンK(メナキノン)の一部が腸内細菌で産生されているのは有名
つづく