病院栄養士が国家試験過去問を解く【臨床栄養のみ】vol.15

がんについては、全体の傾向を把握しておくと良さそうです。もともとの規模（人数）と、部位ごとの変化（増減）。また、理由も知っておくと覚えるのが容易で他の問題にも応用がききます

女性の癌の年齢調整率の近年の傾向は、子宮・子宮頸部・子宮体部が増加、結腸・大腸（結腸および直腸）・膵臓・乳房・悪性リンパ腫が横ばい、食道、胃、直腸、肝臓、胆のう・胆管、肺、卵巣、甲状腺、白血病が減少傾向です。

①胃：胃癌は長らく日本では1位でした。ピロリ菌の感染と塩分制限が多い事が理由とされています。ヘリコバクターピロリ菌の除菌、生活習慣の変化、検診の普及などによって減少していると考えられています。

②子宮：子宮がんは横ばいかやや増加しています。明らかな原因は不明との事。子宮頸がんのほとんどは性交渉で感染するHPV（ヒトパピローマウイルス）が原因なので、性交渉の年齢が下がっているのが一因ともいわれています。

③大腸：大腸がんは以前は順位は低かったのですが、食の欧米化により増えてきたとされています。食の欧米化がおちついた90年代から横ばいです。女性が罹患する癌としては上位です。年によっては1位です

④乳房：乳がんは徐々に増加しています。食の欧米化と、女性の社会進出(によるストレス、妊娠出産の機会の減少)が理由とされています。

参考サイト：国立がん研究センター

ランダム化比較試験（RCT：randomized controlled trial）はランダム（極端に言うとサイコロを使って）に群を分けて、分けた群同士で治療効果などを検討する試験（研究・実験などの概念）です。例をもとに解説していきます

【例】ある人の集団をA群とB群にランダムに分けて、A群は緑茶、B群は普通のお茶を飲む。A群とB群どちらがやせる事が出来るかを調べた—。

ランダム化を行う目的は、A群とB群の「違い」をお茶以外、排除する事です（厳密には違いますが）。理由はA群が沢山運動する人達、B群が運動しない人達であった場合、運動でやせたのか緑茶で痩せたのかがこの試験では分からなくなるからです。

1. ×　利益相反に関係する企業とは、試験の結果次第で利益が出る企業の事です。緑茶に痩せる効果があると緑茶が売れて緑茶の販売企業が儲かります。【例】の試験での利益相反に関係する企業はお茶の販売企業となります。評価はしてもいいとされていますが、利益相反に関係していれば試験結果の報告に記載する必要があります。
2. 〇　無作為割り付けとは、ランダム化する作業の事です。ここで言うインフォームド・コンセントは試験の説明と同意を得る事です。「どちらに割り付けるか分かりません」という状態で試験に参加してもらいます。でないと、効果が出そうなA群にみんな入りたくなりますよね。
3. ×　すでに書いた通り、患者群と一般集団では性質が異なるなるため、痩せた原因が緑茶の効果か、病気かが分からなくなるので不適切
4. ×　参加者の希望で群の変更は基本的にできません。でないと、効果が出そうなA群にみんな入りたくなりますし、群の間に偏りが出来てしまいます
5. ×　【例】の試験での交絡因子のひとつに運動量が挙げられます。それ以外もあるかもしれません、性別や年齢etc…。予想できない交絡因子も恐らくあります。交絡因子に差が出ないようランダム化を行います