大腸憩室炎の栄養療法でまとまった情報がない!こんな栄養士さんへの記事です
本記事では栄養療法の情報をみかけない大腸憩室炎について、現役栄養士の都がまとめてました。
✔本記事の内容
・大腸憩室炎とは
・入院中の栄養管理
・退院後の食事
大腸憩室炎とは

大腸憩室炎:大腸に出来た憩室の内腔が便などで満たされ、細菌が増えて憩室周りに炎症を起こしている状態です。炎症や穿孔によって膿瘍ができることも
憩室:消化管の壁がなんらかの理由により、一部分だけ膨出している状態です。膨出する成因は、先天性・消化管の筋層が弱くなる等があります。大腸に出来やすいです。

治療
- 軽症:保存加療(抗菌薬・輸液・絶食)
- 膿瘍・穿孔など:外科的治療
詳細:Minds大腸憩室症ガイドライン
入院中の栄養管理

軽症
治療経過に沿った栄養をプランニングします。多くの場合で絶食・抹消輸液管理です。
- 情報を集め絶食期間の見通しを立てる
- 栄養評価(低栄養の有無)
- 必要栄養量と摂取栄養量を算出
- 低栄養があった場合、1と3を踏まえた輸液内容をプランニング、提案
- モニタリング
- 食事開始、食物残渣の少ない流動食などから開始
- モニタリング
- 食事形態を通常食へステップアップ(憩室に物理的に残る食材は避ける)
- モニタリング
- 退院前の栄養指導
便秘になると憩室にて便が貯留し、炎症を再燃させるので、モニタリングは排便を含めた消化器と、炎症の程度を血液検査から確認。
膿瘍・穿孔などの外科的治療(ドレナージ、手術)が必要なケースは、記事が膨大になるので割愛します。
退院後の食事

手術をしていない場合は、憩室と付き合っていく事になります。憩室に便と食物残渣が滞らないよう、考えることは「禁止食品はあるか」「便秘予防」です。
禁止食品はあるか
「〇〇を食べてもいいか?」と疑問がわきますが、答えはありません。以下の2点です。
- 便にそのままの形で出てくる食材は避けた方が良い
- アルコールは控えた方が良い
胃・小腸の消化吸収をくぐり抜けて、大腸の憩室に留まるような食材は避けた方が無難でしょう(擦っていないゴマ、もどしただけの乾燥ヒジキ等)。
ガイドラインに禁酒の予防効果は掲載されていませんが、多くのサイトではアルコールをさけるべきと記載されています
便秘の予防
食物繊維の不足に起因する便秘は避けたいところです。
食物繊維は食事調査を行い、食事摂取基準の目標量と比べて不足があれば是正を。ただし、物理的に大腸まで到達するほどの消化の悪い食材は避ける
憩室炎の再発予防に弱いエビデンスではありますが、食物繊維の摂取がありますので、粉末サプリメントの水溶性食物繊維を摂取してもいいと思います
おわりに
臨床栄養の教科書に情報がなく、ガイドラインにも栄養に関する記載は少ないです。pumedで検索しても本当に情報がありませんでした。他にもうこういった類の疾患はあるので、病態を理解して栄養療法を行いたいですね
おしまい