【白湯】経管栄養の投与速度を組み立てる【水分】

臨床栄養スキル
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病院栄養士として経験も積んできて、栄養指導や入院患者さんの補食の提案は出来る。でも、経管栄養の具体的なプランは投与速度とかも考えないといけないし、敷居高いなぁ・・・。

こんな悩みのある、病院栄養士向けの記事です。本記事では経管栄養のプランニングで最も頭を悩ませる問題の一つである経管栄養の「投与速度」についてまとめます。

本記事の内容

・経管栄養の投与速度
・追加水(水分)の投与
・実際の経管栄養のプラン例

記事を書いている私は病院で働いています。私は病棟での栄養管理を中心に業務をしていて、経管栄養管理の患者さんを常時1~2名は受け持っています。経腸栄養のプランニングが出来れば他の職種から重宝されます。ぜひご覧下さい。

経管栄養の投与速度

結論:投与速度のゴールは栄養チューブ先端が胃➡300ml/h、胃幽門より肛門側➡100ml/h

経管栄養の投与速度を検討するには、まず経管栄養のチューブ先端(出口)がどこに留置されているか確認します。胃内胃幽門越えか です。胃には食物をためこむ役割があり、幽門がその役割を担っているためです。

経管栄養チューブの先端(出口)が胃内

経管栄養チューブの先端(出口)が胃内であれば、胃の貯留能が機能するので、けっこう早めの投与が可能です。胃瘻が造設されていれば胃内の留置と考えます。経管栄養開始時の初期速度は100ml/hから始めます。院内規定があればその速度で開始して下さい。

胃の貯留能は2ℓ程度なので、胃に問題がなければなんでもokです。経管栄養剤を投与して問題がなければ次の日から一日100ml/hずつ速度を上げていき、300ml/hまで上げればゴールです。胃の貯留能は個人差があるので、目的に応じて速度のゴールを決めます。

経管栄養チューブの先端(出口)が胃内幽門越え

経管栄養開始時の初期速度は20ml/hから始めます。 投与して問題がなければ次の日から1日10~20ml/hずつ、1~2日ごとに速度をアップします。目標栄養を到達できる投与速度までupできたら、栄養剤を投与しない空腹時間を作り、徐々にな空腹時間を長くしていきます。投与速度のゴールは100ml/hとしましょう。

胃内の留置がなんらかの理由でできない場合、胃幽門を越えて栄養チューブが留置されます。トライツ靱帯を越えた空腸内、十二指腸水平脚に留置される事が多いです。PEG-J、腸瘻も胃幽門越えと考えて良いでしょう。

幽門後は胃の貯留能が機能しないため、下痢やダンピング症状などを人為的に引き起こすことになります。よって、投与速度はゆっくりアップしていく事になります。

  • 胃の貯留能が機能しないので、消化器症状が出やすいです。
  • 経腸栄養ポンプが必要となりますので、投与開始前から手配しておくとスムーズ。
  • 初期投与を絶対に失敗できない場合は10ml/hから始めます。10ml/hで始めて何かトラブルがあれば、今すぐには経管栄養が出来ない という事になります。
  • 経管栄養の速度up中に下痢が起きれば、下痢の原因を考えます。速度upによる下痢であれば投与速度を戻しましょう。
  • 私は栄養剤投与開始前から消化管を使っていて早めにゴールへ到達したい場合は40ml/hからで提案しています。

追加水(水分)の投与

この記事でいう追加水(水分)とは普通の水道水の事です。白湯を作って投与されている病院もあると思いますが、それも追加水とします。

私が勤めている病院では600ml/hを基本としています。200mlまでであれば、全開投与・ボーラス投与可能としています。

消化管からの分泌液は一日7リットル(唾液・胃液・胆汁・膵液・腸液)あります。追加水の割合を考えると影響はそこまで無いと考えられます。追加水による症状が無ければ早めに投与して、経管栄養の時間を出来るだけ短くして患者さんへの拘束時間を減らしたいところ。

追加水は経腸栄養剤より先に投与する事。水は胃内にとどまる時間が短いので、先に投与する事によって、胃内から水が排出され、栄養剤が腸に到達する前に腸を動かし、下痢の予防効果があります。水を栄養剤の後に入れると、栄養剤が胃内にたまっているところに上乗せされるため、ボリュームオーバーを起こすリスクがあります。

実際の経管栄養プランの組み立て例

経管栄養のプランを実際に組み立ててみます。

経管栄養チューブの先端(出口)が胃内

目標栄養:水1500~2100ml/日 エネルギー1600kcal/日の場合

使用栄養剤:CZ-Hi1.5アセプバッグ  1パックの栄養➡400kcal/水202ml/容量267ml  

  • 初期投与 :栄養剤×4(100ml/h)、栄養剤の投与前追加水200ml➡水1600ml、1600kcal 
  • ステップ②:栄養剤×4(200ml/h)、栄養剤の投与前追加水200ml➡水1600ml、1600kcal
  • ゴール  :栄養剤×4(300ml/h)、栄養剤の投与前追加水200ml➡水1600ml、1600kcal

初期投与は追加水200ml、栄養剤の注入が完了するのに3時間程度かかります。看護業務やリハビリによっては日中に完了できないかもしれません。輸液ルートがあれば栄養剤を1パック減らしてビーフリード2本を併用し、追加水をやめます。夜間投与するかどうか等、他の職種とディスカッションをしてプランニングしましょう。

経管栄養チューブの先端(出口)が胃幽門越え

目標栄養:水1500~2100ml/日 エネルギー1600kcal/日の場合

使用栄養剤: アイソカルBAG 2K  1パックの栄養➡400kcal/水140ml/容量200ml

使用輸液(薬):ビーフリード 1パックの栄養➡210kcal/水500ml/容量500ml

  • 初期投与 :栄養剤(20ml/h)、24時間持続投与(総容量480ml)→水336ml/960kcal+ビーフリード500ml×3→水1500ml/630kcal 合計:水1836ml 1590kcal
  • ステップ②:栄養剤(30ml/h)、24時間持続投与(総容量720ml)→水504ml/1440kcal+3号維持液500ml×2→水1000ml/108kcal 合計:水1504ml 1548kcal 
  • ステップ③:栄養剤×4(40ml/h)栄養剤→水560ml 1600kcal+3号維持液500ml×2→水1000ml/108kcal 合計:水1560ml 1708kcal
  •  ゴール :栄養剤×4(40ml/h)栄養剤の投与前 追加水250ml➡水1560ml、1600kcal 
  • 以降は10ml/hを1日ずつup。100ml/hに到達するか消化器症状が出ればそこで速度upは終了。

字だらけで読みずらいですね・・・ごめんなさい。栄養剤を10ml/hずつ流速を上げて、不足分の水を輸液で追加しています。ステップ③からゴールは輸液から経腸チューブでの水へ切り替えているだけです。

実臨床ではタンパク質の投与量も考慮したり、疾病も考慮します。仮に糖尿病があればステップ③のカロリーオーバーは許容できるかを考えます。

10ml/h単位ではなく、「栄養剤を2時間で投与」のような指示を出される医師もいますが、濃度の違う栄養剤に途中で変えた結果投与速度がバラバラになるケースもあります。看護業務を考えると、33ml/hや25ml/hにするとすっきりしますし、そこらへんは他職種と協議してプランを組み立てて下さい。

管理人の都
管理人の都

私の経験をもとに投与速度についてまとめました。投与速度はガイドラインにも載っている情報は少なく、先輩からの口伝で伝えられているかもしれません。経腸栄養のプランニングとトラブルシューティングが出来るようになれば、一気に病棟で重宝されると思います。

おわり

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